第2部 私たちの実践 
実践のまとめにかえて
 私たちの実践をいくつか紹介しました。実際に課題がつかめていてもさらにまた実践づくりの悩みはつきません。
 実践は、同じものをやってもやる人によって違います。その実践が子どもの課題にあっているものとわかっていても、同じ教科書をつかっても指導者によって違うのと同じで、そのままかりてきてもやはりうまくいかないのです。「この花は植えれば放っておいても育つよ。簡単」と言われても、その人と同じようにはやっぱり育ちません。その微妙なところは、どうしてもやる側は伝え切れません。私にはできても同じように他の人ができるとは限らないのです。土も違えば日当たりも違う水揚げ具合も違うのです。目の付け所というか、ただ植えておくだけといっても、それはそれなりにコツというものがあるわけです。
 それでも、やはりアイディアは借りながらも、“これは!”と思うものがあったら、どんどんやってみましょう。あとは、常に子どもに学び修正していけばよいのです。子どもに合わせ、実践をする。つまり、目の前の子たちにあわせた指導、展開がされていくことがすでにその時点で独自のものとなっていきます。実践創りは悩みや苦労がつきませんが、そこに面白さもあるのです。
 指導力や実践を引き上げるのは、子どもが好きであること、少しでも子どもを伸ばしたいという共感的愛情の存在です。それが教育実践を独創的なものにし、その子に合わせた知的な能力だけでない“丸ごと”の人間を伸ばしていく独自の実践になると私たちは信じています。

                          
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