(社)日本建築家協会
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JIA会長からの挨拶
高度な科学、技術、文化の発達を背景にして成立している現代社会は、高度な知的能力を身につけて社会のために働く多くの専門的・知的職業人(プロフェッション)を生み出してきました。こうした人達は現代社会を支える極めて重要な役割を担っています。多くの人々にとって望ましい生活環境や魅力的な建築文化を創造することを仕事としている建築家もそうした職業人のひとつです。わが国が本格的な近代化に向けて踏み出した明治初頭以来、こうした建築家職能の確立への努力が多くの先達建築家によって続けられてきましたが、日本建築家協会(JIA)は成熟したわが国に相応しい国際的なレベルでの建築家職能の実現を目指して、1987年に共通の目的をもった二団体を統合して設立されました。これまで多くの会員の先見性のある活動によって実績を積み重ね、建築界における指導的立場を築いてきました。
◆ところで、20世紀は世界にとってもわが国にとっても激動の世紀でした。21世紀にかけて更に変貌を遂げてゆくに違いありません。こうしたなかで、20世紀後半の我が国の成功を支えてきた様々な社会の枠組みが機能しなくなり、限界が明らかになってきました。私達は新しい世紀に向けて制度疲労を起こしている様々な枠組みを変革し、新たにしてゆくべき時点に立たされています。建築界においても状況は全く同じではないかと思われます。建築家資格のグローバルスタンダード化、建築家実務の国際化、建築生産方式の多用な展開と建設産業全体の在り方の見直し、建設市場の国際開放と量的・質的転換、建設業界の破綻と再生、消費者保護と品質保証の重視、地球環境問題や地球資源問題の顕在化と現代文明社会の見直し、自然と技術の関係の見直し、スクラップアンドビルドからの脱却と永続的な生活環境創造への転換、伝統や文化に関するグローバル化と地域性の共存等をはじめとして改革すべき緊急を要する課題が山積みしています。激変してゆくこれからの時代にあって、JIAの時代に対する先見性と行動力がいっそう求められています。JIAは社会の期待に応えるために更なる努力を続けたいと思います。同じ志をもつ多くの建築家に参加していただき、共に新しい時代の礎をつくりあげてゆきたいと思います。
社団法人日本建築家協会JIA
会長
村尾成文