小渕観音院(修験宗)おぶちかんのんいん

正しくは小渕山正賢寺で、本尊は聖観音。京都聖護院の末寺という。
本尊の聖観音はむかし、洪水でこの地に流れ着いたものを、もとの寺に返したが、その後の洪水で再びこの地に漂着した。当時の村人は、観音様がよほどこの地が気に入ったのではないかと、堂を建てて安置したと伝えられている。
本尊はアザ・イボ・コブ取りに霊験ありとして、近在の人々の厚い信仰を集め、「こぶとり観音」と呼ばれ親しまれている。
本尊の他に、7体の円空仏があり、なかでも蔵王権現像は円空仏としては全国的にも珍しいもの。楼門(仁王門)は市内で唯一のもので、元禄年間(1688〜1704年)に建立されたもの。茅葺きの本堂は1825(文政8)年に再建された。この本堂の天井は格天井になっていて「百花図」が描かれている。境内には芭蕉の「ものいへば唇寒し秋の風」の句碑があり、芭蕉が泊った、とも伝えられている。