タンチョウ豆知識


(参考文献) ・正富宏之監修「青い星のツルたち」北海道保健環境部
・釧路市史編さん事務局編「釧路湿原」釧路新書
・「タンチョウ読本」道東アウトドアーズ編集

昔、北海道に住むアイヌ民族の人達は、タンチョウを「サルルン・カムイ」(葦原に住む神様)と呼んでいました。 葦原つまり「湿原」とタンチョウは当時から一つのまとまった風景として、アイヌの人達の目にとまっていったようです。
雄では羽を広げると2.4m、体重15kg程にもなる日本最大の鳥が狭い国土の日本で生き続けてこれたのは、 釧路湿原に代表される大小様々な湿原の存在が大きく貢献しています。
タンチョウは渡り鳥ではなく北海道道東のみに生息する留鳥です。



[保護について] [生活について] [タンチョウ生息状況一斉調査]



「保護について」

明治25年に「保護鳥」とされた時には、北海道の急速な開発もあってタンチョウは絶滅したと 思われていました。 しかし、大正13年10月鶴居村キラコタン岬付近の湿原で、10数羽のタンチョウを再発見した ことから急速に保護へと向かいました。
昭和10年に「天然記念物」、昭和27年には「特別天然記念物」となる ものの、その昭和27年の調査では33羽しか確認されず、まだまだ絶滅 の危機に瀕していました。
保護への努力が続けられる中で、阿寒町の一農民の山崎定次郎氏が始めた トウモロコシの給飼が鶴居村など各地で実施され、冬季のエサ不足で餓死 することがなくなり、急速に生息数が増加するようになりました。
昨年の調査では、600羽程までに増えたようです。しかし、固体数が増えても 繁殖や生活のための葦原(湿原)が乱開発等により年々少なくなってきています。 「鳥」としてタンチョウは保護されていてもタンチョウの 生活する湿原は保護されていません。 ラムサール条約に指定されているのも釧路湿原の1/6程度でしかありません。
湿原がタンチョウの生息・保護地であり、自然環境の保全が世界的課題でもある今日、 湿原とその周辺の環境保全が気になるところです。
いつまた「トキ」と同じ運命になるかもしれないのですから・・・
湿原の写真

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「生活について」

タンチョウは一度つがいになると一生を伴にします。
つがいは3月になると、繁殖のため人里の給飼場から、まだ雪の残る湿原にもどります。3月から5月ににかけて卵を2個生み、約32日程つがいが交代で温め続けます。
うまれたばかりのヒナは、全身を薄茶色の産毛で覆われ、3日もすると自由に歩けるようになります。最初の1ヶ月程は親から餌をくちばし移しに与えられる毎日です。
3ヶ月程で親と同じ位の大きさになり、100日程で飛べるようになります。しかし、ここまで育つヒナは多くありません。2個の卵のうち順調に育つのは良くて1羽の場合が多いようです。
10月の終わり頃から、釧路の越冬地(給飼場)に移動しはじめます。冬場は湿原を離れ人里の給飼場を中心とした生活を送ります。越冬地には、タンチョウが決まって夜を過ごすねぐらがあります。ねぐらは普通凍らない浅い川で、見通しのきく風の当たりにくい場所が選ばれます。気温が氷点下になっても川の水は暖かいのです。
再び3月を迎える頃になると、それまでの平穏無事だった家族単位の行動に変化が起きます。親は幼鳥をむりやり追い払うようになるのです。親達が巣作りのために再び給飼場から湿原をめざす時、幼鳥の同行は許されません。幼鳥は、この春は独力で生きなければならないのです。それが野生の決まりなのです。
(タンチョウは飛べるようになるまでをヒナ、その後1年間を幼鳥と呼びます)
ヒナの写真

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「タンチョウ生息状況一斉調査」

★2005年度 第2回 (2006年 1月25日実施)・・・1081羽(幼鳥104羽)
★2005年度 第1回 (2005年12月 6日実施)・・・681羽
★2004年度 第2回 (2005年 1月25日実施)・・・668羽(幼鳥68羽、不明19羽)
★2004年度 第1回 (2004年12月13日実施)・・・860羽(幼鳥70羽、不明4羽)
★2003年度 第2回 (2004年 1月23日実施)・・・822羽(幼鳥90羽)
★2003年度 第1回 (2003年12月 5日実施)・・・650羽(幼鳥67羽)
★2002年度 第2回 (2003年 1月27日実施)・・・908羽(幼鳥115羽)
★2002年度 第1回 (2002年12月 5日実施)・・・661羽(幼鳥79羽、不明5羽)
★2001年度 第2回 (2002年 1月25日実施)・・・808羽(幼鳥82羽、不明1羽)
★2001年度 第1回 (2001年12月 5日実施)・・・648羽(幼鳥77羽)
★2000年度 第2回 (2001年 1月25日実施)・・・798羽(幼鳥79羽、不明11羽)
★2000年度 第1回 (2000年12月 5日実施)・・・613羽(幼鳥71羽)
★1999年度 第2回 (2000年 1月25日実施)・・・519羽(幼鳥53羽、不明9羽)
★1999年度 第1回 (1999年12月 6日実施)・・・471羽(幼鳥51羽)
★1998年度 第2回 (1999年 1月25日実施)・・・709羽(幼鳥100羽)
★1998年度 第1回 (1998年12月 4日実施)・・・596羽(幼鳥77羽)
★1997年度 第2回 (1998年 1月26日実施)・・・616羽(幼鳥55羽、不明58羽)
★1997年度 第1回 (1997年12月 5日実施)・・・579羽(幼鳥65羽)
★1996年度 第2回 (1997年 1月24日実施)・・・586羽(幼鳥48羽)

生息調査は1952年から実施され、1989年度から12月と翌年1月に実施されている。

1999年度 第2回の調査は、当日の気象条件が悪かったため、給餌場等へのタンチョウの集まりが悪く
結果として観察数が少なかったようであり、実質的な生息数として利用することには問題があるとの報告があります。
参考:環境庁報道発表資料による

生息調査結果

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Author:Hiroshi Nakajima
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