チームワークの成立
(事例1)「チ−ムワ−クが生んだ巨大ゴリラ」
 1996年の運動会の「玉入れ」(小学部の子どもたちの参加種目)のアイデアとして、たわわにならせた500本のバナナを子どもたちがもぎ取り、巨大なゴリラの口の中に放り込むという活動を考えました。その巨大ゴリラの製作を担当したのが小高グル−プです。

 始めは等身大の着ぐるみのゴリラが出てきて「籠にバナナを入れて!」と誘う…、というような発想でした。みんなでワイワイ話し始めると、「グランドで等身大じゃつまらないよね〜!」という一人のつぶやきがでます。すると、「やっぱり、でかくなくちゃね!」とみんなうなづきます。そして、 「でかくて、さらに、ちゃんと動きまわらなくちゃね!」とあっというまに、みんなのイメ−ジがふくらんでいきました。話し合って出して目標が定まります。
 
 「できれば2m半、手を上げて3mぐらいはあって・・・。でも、重量はでるだけ軽くして一人で装着して操作できて、手を振りながら自由に歩き回ることができるゴリラ。それも、できるだけいい顔のゴリラを作る!」
 
 運動会は、9月です。その9月に向けて巨大ゴリラ製作の宣言をしたのが、7月の1学期末の納め会の席でした。
 担当係がスクッと立ち上がり「これから巨大ゴリラを作りたいと思います。この計画を、『G計画』と名付けます!みんなのアイデアとワザをすべて結集して、いいものを作りたいので、よろしくお願いします!」と演説。 と同時に沸き上がる拍手、声とみんなの笑顔。係は、実感します。「よ−し、できるぞ〜!おもしろくなりそうだぞ!」ワクワクした夜でした。

 夏休みは構想あたため期間。係の胸の内には、「巨大ゴリラが、はたしてイメ−ジ通りに作れるのか?予算もあるし〜?」という不安はありました。


 そして、練習に間に合うようにさっそく「G計画」のスタ−トです。
 職員室のホワイトボ−ドに書いた「G計画仕事分担表」により製作チ−ムを決定することから始めました。巨大ゴリラの骨格は「フレ−ムチ−ム」、頭部は「ヘッドチ−ム」、体(皮膚)足は「スキンチ−ム」などとパ−ト別に小チ−ムを作り、それぞれにチ−ム名をつけました。

  メンバ−それぞれの得意なワザを発揮して、こだわりをぶつけ合いながら一つ一つの製作過程すべてにおいて、あ〜でもない、こ〜でもないとディスカッションが繰り広げられます。

 そのディスカッションは、まかり間違えばケンカになってしまうかもしれないほど真剣に主張し合うこともあります。しかし、よりよいものをぎりぎりまで求め続けるという気持ちの共感があるので決して決裂はせず、一つづつ進んで行くのです。
 そうやって、完成。
 大ががりな計画 だっただけに、作りがいがあり、製作 にあたったメンバ−はみな愛着すら感 じるようになりました。

 運動会に登場した巨大ゴリラは、その大きさで初めはこどもたちを驚かせはしたものの、注目度バツグンのニュ −キャラクタ−として人気者になりま した。シンガ−ソングライタ−の新沢 としひこさんのうた「ゴリラはゴリラ」 とともに現れるゴリラの姿は、なんと も言えぬユ−モラスなものです。

 巨大ゴリラは私たちの財産になり、その後も集会や交流会、文化祭にも出演させました。作ったものをその場で終わらせることをしないのも、みんなのアイディアがあってこそ。さらに次の年に活動を変えてリニューアルして再出演 したり、装飾を変えて海賊になったりと、今も出演の機会を待 って休んでいます。


 この「G計画」完了後、ある同僚が「係がいろいろ声をかけてくれたから(このゴリラが)できあがったのよ」と、さりげなく声をかけてくれました。そういう声の掛け合いがチ−ムワ−クの土台になるのだと思います。




(事例2)「『人形劇団』になる文化祭」
 文化祭は、各学部ごとに企画を行います。小学部では、その企画を日頃大切にしている「遊び」の力の発表にしています。他校では、この機会に学習発表をしているところが多く、川口養護学校も以前はそうでした。しかし、限られた時間で子どもたちのことを地域の方々にも知っていただくなら、より生き生きと活動している場を共有していただきたいと遊びの場作りに替わりました。(学習の様子は展示コーナーで伝えることにし、保護者には授業参観をはじめいつでも見ていただく機会があります。)

 毎年工夫を凝らして子どもたちが楽しめる遊びの空間を教職員全員で作り上げます。
 そのひとつに、職員手作りの「お話」(影絵、パネル・スライドシアタ−、人形劇など)コ−ナ−があります。

 1995年からは、毎年「人形劇」を制作・上演してきました。
 1997年には、オリジナルのシナリオによる作品を制作しました。
 この企画・制作も、チ−ムワ−クなしには不可能なものです。毎年、運動会が終わると、11月の文化祭を目指して、「人形劇団」が旗揚げしたような雰囲気が漂います。

 小学部職員の会議で出されるイメ−ジをもとに「お話」を考えます。原作を探したり、時には創作します。(1997年の時は、3本のスト−リ−を創作し、その中から選定しました。)シナリオ制作、効果音・BGM構成、人形制作、大道具・小道具制作、舞台制作などいくつもの小チ−ムに分かれて準備します。それらを最後に一つにまとめあげて完成し、上演するという活動です。

 スト−リ−は、シンプルでわかりやすいもの。キャラクタ−もインパクトがあって、親しみやすいものをと、いろいろな条件を考えて、話し合いながら制作します。
 効果音、BGM構成や最終的な録音は、現在すべてMD(ミニディスク)を駆使したデジタル録音で、1秒どころか、コンマ以下の時間の「間」(ま)までこだわって編集しています。

 出演者は、よりよい演技を目指して何回もリハ−サルを繰り返して本番に臨みます。リハ−サルを見つめるみんなが「演出家」で、時には厳しい批評もとびだしますが、基本的には、励まし、讃えながら笑顔の中でできあがっていきます。

 この時期のメンバ−の気分は、ほとんど「劇団員」です。精神的にも高揚し、充実感があります。「作る」ことの喜び、それも、同僚とのチ−ムワ−クの創造力を実感する喜びがあります。そして、何より、子どもたちの期待し楽しんでいる姿を見ることが、最大の喜びです。

 1997年の人形劇「くんちゃんとロボットロボくん」を写真で紹介します。 「生顔」(なまがお)で演じる少年の人形を主人公にした物語です。<工事中>



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