第3部 授業づくりのノウハウ
(4)教材はどこで手に入れる
1.学校で
 学校の中というのは不思議といろいろなものがあったりするものです。新しい学校に赴任した時には、学校探検をしてみてはいかがでしょうか。もちろん倉庫など、ふだんは足を踏み入れないようなところまで、入り込むのです。
  すると、自分の見たことのないような道具や、遊具などいろいろあるものです。「以前からいる教員に聞けば分かるだろう」とこの手続きを怠ると、せっかくのものを見逃してしまうことになります。古くからいる教員にそのことを尋ねても全く知らないということがあります。購入しておいても、それが皆に周知されているとは限らないのです。人によって使い方が違ったりするので、必要がなければ覚えていないことも多いです。やはり自分の目で確かめておくべきでしょう。
 そして何より教材・教具というのは、自分のイメージをどこまで表現できるかが勝負なので、自分が見ておくということが教員側の想像力の広さに関わり、教材のできを大きく左右するのです。

 もちろん、事務室との連携も大切です。学校のシステムの違いはあっても、学校の予算を扱っているところには変わりません。日ごろから、交流を深めておくことが非常に大切になってくるでしょう。
  購入したいものがあっても、事務室の動き次第で、変わってくることもあるようです。お互いが気持ちよく仕事ができるような関係を作っておくことは、物質的な面だけではなく、心理的な面においても有意義なことです。


2.地域から援助を受けて
 私たちは、地域の方から援助を受けることがよくあります。
 段ボールを扱っている企業から箱になる前の大きな平面の段ボールをトラックにいっぱいいただいたり、印刷会社から平板磁石の製品を切り取った不要の部分やいろいろな紙類(金、鎖、その特殊な物)までいただいたりします。これらは、購入しようと思っても、製品としてはなかなかなかったり意外に高価だったりします。何よりこれから加工して教材・教具を作るということが多い養護学校では、非常に便利なものとなるのです。
 その地、域独特のことかもしれませんが、テレビのセットや演劇のセットで使ったようなものを解体している企業があります。そこにいって、大道具などをもらってくることもあります。そういう企業が近くにあったら最高です。
  例えば、2〜3メートル幅の階段であるとか、お城の設定に使ってあるようなギリシャのパルテノン神殿風の柱とか、発泡スチロールでつくって装飾までしてある墓石とか、学校ではとうてい製作しきれないようなものまであるのです。
 
 学校を地域の中に広げるという点からも、地域にアンテナを広げてみてはどうでしょうか。また、教員それぞれがいろいろなところに目を向けることで世の中のたくさんの不用品の中にも有効なものを見出す機会は多いのす。個人個人のアンテナを広げましょう。

 大きな教材や大きな集団を組織しての授業は、なかなか難しいものです。それぞれの考え方や価値観が違うと、授業への取り組み方も違ってきてしまいます。一人ひとりがばらばらに行ってしまったのでは、せっかくの教材も生きませんし、よい授業は創れません。てすから、お互いの授業への思いをうまくからめて創り上げなくてはなりません。
 そして、その思いがうまくかみあっていくまでには、日々の学校での生活の中で、お互いが共有する部分、例えば子どもたちの見方を研修を通じて共有したり、授業のねらいを共有したりと日々の実践から考えたことをお互いの財産にしていこうという積み重ねが必要です。
 こうした一つひとつのことが、チームワークを作る土台となっていくことを考え合っていきたいものです。

 また、大きな教材は、頭の中で考えただけでは、思うようになってくれないことか多いです。お互いが出しあった意見を元に、教材を製作しても、最後に実験するとうまくいかなかったりします。
 そして、その場で工夫したり、さらには持ち越して考えを練ってまた実験というようなことがしばしばです。これがいわゆる教材研究と呼ばれるものなのです。それを私たちは一人ではなく、大勢で行わなければなりません。やはり、チームでワークするのです。そしてこのことが、より深いチームワーク作りへの作業にもなるのです。
 同じ場を共有し、同じ目的をもって取り組み、達成された時に言葉ではなくお互いがその感動を共有できたという体験ができます。その仲間のことについては、次の章でふれますが、子どもたちへの願いの中にもあるように、私たち教員も同じように、集団を作っていかなければならないのだと感じています。

 子どもたちにとって学校は 「一人では学ぶことができないものを学ぶところだ」と思うのです。私たち大人も、一人ではできないことを求めていく姿勢を持ちたいと思います。
 そして、これは一例でしかありません。今、目の前にいる子どもを大切にみつめ、子どもに寄り添い、子どもの発達を願うならば、もっともっといろんなものが考えられと思うのです。そうやって、みなさんでよりよい授業を創っていってほしい、それが私たちの願いです。

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