第3部 授業づくりのノウハウ
(2)お助けアイテム
 見ているはずなのに・・、聞いているはずなのに・・、でも認識していないというのはよくあることのようです。大人も同じかもしれませんが「今まで見ようとしなかったものを見ようとすること」や聞こえてくるものを「はっきりと意識してよく聞こうとするようになること」は、自分からそうしなければ見えたり、聞こえたりしないものなのだと思います。そういう入力的な部分についての働きかけの仕方で、子どもはずいぶん変わっていきます。

 集会のバルーン遊びでの話(集会の項参照)を思い出して下さい。ずっと下ばかりを見て、あまり視界を拡げようとしない子がバルーンちゃんを経験した時、自ら上を向いて目で追うことができました。
  「上を見なさい」と言って見るのではないのです。そこには子どもの意思の力を感じ、自らということを強く感じます。

 また、授業全般の中でよく使うBGMですが、このBGMもただ使うのではなくいろいろなものの提示と合わせて有効に活用することができれば、見通しや期待感と重なってよく聞こうとするようになります。音を聞いて見通しや期待も膨らむという相互作用になり、意識して聞く姿勢が出来上がってくるのです。その効果を考えて使うことが、耳から入る情報を有効に活用しようとする力につながります。
 私たちは言葉かけ一つひとつに大きな意味を考えて発することを心にとめていますが、BGMもそれと同じように授業の中での効果を期待するものという考え方で行わなければいけないのでしょう。
 道具は多種多様にあるので、いろいろなものが考えられると思います。その中でも、使用してダイナミックな授業に使う時には非常に役に立ったものをあげてみます。

ビデオプロジェクター
 映画のように大きなスクリーンに映像を映せるものです。
 光を使ったものなので、その場所を暗くして行います。すると、映像だけが強調された空間になり、子どもたちは画面に集中することができるのです。
 これ一台で場面転換の時には臨場感満点の場面をつくりあげることができます。影絵用のスクリーンや白い薄手の布をスクリーンにすると、その機材を子どもたちに見せないで映像を見せることができ、効果的になります。
 さらには、今流行りのデジタルカメラなどを使うことで、市販のものでは手に入らないものを映像化できたり、絵本を大きな画面に映すこともできるわけです。 絵本も全体を撮るのではなく、主人公の動きだけを大きく映して、効果的に作り変えることもできます。
OHP
 ただ映したのでは変化がありません。映像を動かすことで、効果をあげます。機材が小さいので映像が動かせます。
 この特徴を生かして使うといいようです。大きくなったり小さくなったりする変化が子どもたちの注目を集めます。これは、目で追うということにもつながります。さらには厚紙などに点描のように穴をあけることで、光をおさえた提示の仕方もできます。
MD
 ミニディスクという機械です。これの一番良いところは、自分で編集した曲を入れ、頭出しが瞬時にできることです。
 テープでの頭出しというのは時間がかかるし、途中の曲を選ぶのはまた時間がかかってしまいます。かといって1本ずつに1曲を入れておくとテープ交換ということになります。74分間のMDであれば何曲も入れておくことができ、番号で曲を選択すればランダムに選曲ができるのです。
 ストーリーを大事にする授業では、いろいろな効果音をすぐに取り出せ、かけたい時にタイミングよくかけられてとても有効です。紙芝居や、人形劇などをする時にも非常に役に立ってくれます。

 リモコンが使えるものならば、機器を子どもたちから離して設置でき使いやすいようです。さらには、曲を編集できる機能などもついていて、市販音では不必要な部分をすぐに削 除して、前後をつなげるといったこともできます。(どの会社のでもよいというわけではなく、今までに使った中ではSONYの据え置き型のMDデッキ単独で売っているものが編集や操作が行いやすく、音出しの時間が短いことなどで便利です。)
ミラーボール
 授業場所の環境を変化させるのには効果的な道具です。
 光の当て方でいろいろな雰囲気が出ます。当てる光源の変化で光の粒が小さくなったり大きくなったり形を変えたりします。雪の風景になったり、星空になったり、夢の世界のようになったりと、授業のストリーによってさまざまに使えます。
 ミラーボールにもいろいろな種類があるようです。学校として何種類か用意したり複数用意しておくと使い方が広がります。
スポットライト
 光関係の道具を使う時にはいるいるな役割をするものです。
 大きな劇などを行う時だけに使用するのではなく、日頃の授業でも子どもたちにスポットを当てる演出が、子どもたちの意識を高めていくのに役立ちます。
キャスターボード、箱車
 キャスターボードにもいろいろな大きさのものがあると使いやすいようです。
 一台だけを使う時は7、8人の子どもが乗れるような大きいもの、1、2人の子どもが乗れるような小さなものなどと、用途に合わせて使えます。
 さらに、30センチ四方で自在に動く小さめのキャスターを4つつけたものを4つそろえておくと非常に役ちます。それ単独でも、子どもたちが腰かけて足でこいだり手でこいだりして遊ぶことができるし、4つ全部を使うと、大きなトランポリンもそのまま動かすことができるのです。体育館などでは、トランポリンを大きな島に仕立てて動く島として使うといったことまでできます。
 厚めのベニヤや、机なども同じようなやり方で動くものに早変わりとなります。要するに、重いものでも大きなものでもそのキャスターを四隅に入れるのことで簡単に動かすことができ、大がかりな演出を可能にしてくれるのです。
 箱車というのは、それ一つで物を運んだり、バスや電車にも見立てて遊ぶこともでき、平板なキャスターボードとは違った使い方ができて役に立ちます。
すべり台用のボード
 長い一枚物のボードを複数そろえると便利です。
 私たちは、90センチ幅で長さが360センチのものを3枚用意しました。単独で使ってもいいのですが、学部全体で使う時には3枚を並べて何かに立てかけて坂をつくり、段ボールなどを敷き詰めると幅が広いすべり台が出来上がります。
 遊びの内容をとてもダイナミックな展開にすることができます。また、このボードを長い階段などに置いて縦につなげると、非常に長いすべり台が出来上がります。さらには、机の上などに置くことで、仮設のステージがすぐに出来上がります。

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