参考1 時期のおさえ
小学部・後期
◎特徴
 小学部・前期での身体的・生理的諸機能の土台の上に、より自発的な活動が活発になっていく時期です。基礎学力や自然・社会への認識、自己調整力と結びついた身体機能の一段の発達・集団・自治活動の基礎的な力などが蓄積されます。人との信頼関係も深まり、身体もしっかりとしてくる時期ですので、自分を励ましながら、一定時間身体活動を継続したり、目標を持って努力したり、道具を用途に合わせて工夫したり、共同でクラスの仕事をやり遂げるなど、体と認識の発達が関連した活動ができはじめます。
人とかかわる力や友だちを意識し、協力する力、見通しをもって活動する力が大きく伸び、あそびも拡がり集中力もつき、力が伸びます。新しい課題だけでなく、苦手としてきたこと、逃げてきたことなどを投げかけても、教員の思いを受けとめてそれらに向かっていく気持ちが育ってきます。その結果、子ども自身もやれることが増え、活動的に自信とたくましさがでてきます。 
また、活動の中で見通しをもち、今は自分がやる時、少し自分が我慢する時のように、自己中心的な心性を越えていく姿も見られてきます。
さらに個人差はありますが、思春期の入口として身体の発達や第二次性徴が見られ、好きな人ができたり、心が荒れたり、体が変化してきます。自我が現れ、自分の意志を通して、わがままに見えることもありますが、豊かな人間関係を育てることで乗り越えていけます。
 
◎おさえておきたいこと
小学部前期の時期を経て、学校生活の慣れ、人との信頼関係も深まり、体もしっかりしてきます。そういった安心の土台の上にたって、次の段階の学習の向かっていこうという時期です。
また、小学部前期でされた生活や行動面などの「問題行動」への強まりのへの修正が定着されるように手を抜かず、たゆまぬ努力が必要です。
つまり、小学部前期よりもひとまわり経験の幅、さまざまな表現手段の幅、人としての内面の幅を広げていける時期であり、自分の可能性に向かってたくましくチャレンジしていく時期といえます。
自分の思いが育ち、自我の葛藤の時期です。子どもの気持ちや自立心を大切に家庭と連携しながら大人への入口を探っていくことが大切です。
 また、新たな「問題行動」は、発達段階のある時期や生活年齢のある時期に現れることが多いです。興味関心が広がる中で活動範囲が広がり、時に「困ったいたずら」や「事件」になることもあります。自分の意志がはっきりしてくる分、小学部前記の頃に比べて「言うことを聞かない」ようにみえたり、「わがまま」になったように思えることもありますが、「問題行動」は、新たな発達要求としてとらえ、展望をもってじっくり腰をすえて取り組むことが大切です。どんなときに起こるのかよく観察して、学校の先生とも話し合い対処の仕方を一緒に考え、同じ取り組みをすることが大切です。真正面から向き合わないで、ちょっと間をおいてかかわってみることも大切です。

◎課題
学校生活の流れを見通し、活動の転機を自分自身で作り出すこと
  ・「自分で」決めること、「自分で」やる場面を少しずつ取り入れる 
・ 大人の手から離し、思い切って「まかせる」ことも時には大事
・ある活動の中で見通しながら今の自分がやる時、今は少し自分が我慢するとき、見たいなことを導入する
継続する力や努力・工夫の力の発揮をすること
  
友達や集団に目を向け、仲間を意識すること(人とのかかわりの力を広げる)
  学校生活の見通しがもててくることで、安定した生活が送れ、友達や集団参加の力、仲間と共に活動する力が伸びてきます。
   ・友だちと協力して、つくりあげていく体験をする
   ・大きい子や大人への憧れの気持ちも芽生えるので、その気持ちを大切にした
    活動や働きかけをする

コミュニケーション手段の向上をめざすこと
  意欲的に学習に取り組み、見る力、聞く力が伸び、コミュニケーション手段を伸ばしコミュニケーションを豊かにする

社会体験を拡げること
  公共施設、公共交通機関の利用、買物などの体験を広げる

生活を豊かにする
  家事や手伝い、留守番、一人通学などへのチャレンジをする

基本的な生活習慣も新たな段階へすすめていくこと
  「もうすぐ大人」という意識を大人がもって接する。また、生活習慣を見直し、新たな取り組みを始める。
 
「自分で〜する」「自分から〜する」という気持ちを大事に、挑戦する、やりきる力を育てる
   言ってできることが増えてくる。自分の気持ちを表現し、達成して、満足感を味わう。
   友だちとのかかわり、協力関係も組織する
新しい課題に対する葛藤を乗り越える力をつけること
   たくましい心の育ちや経験の広がりを大切にすること

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